ここでは、Microsoft Excel の SLOPE 関数の書式および使用法について説明します。
説明
既知の y と既知の x のデータ要素を通じて回帰直線の傾きを返します。 傾きとは、直線上の 2 点の垂直方向の距離を水平方向の距離で除算した値で、回帰直線の変化率に対応します。
書式
SLOPE(既知の y, 既知の x)
SLOPE 関数の書式には、次の引数があります。
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既知の y 必ず指定します。 従属変数の値を含む数値配列またはセル範囲を指定します。
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既知の x 必ず指定します。 独立変数の値を含む数値配列またはセル範囲を指定します。
解説
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引数には、数値か、数値を含む名前、配列、または参照を指定します。
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引数として指定した配列またはセル範囲に文字列、論理値、空白セルが含まれている場合、これらは無視されます。ただし、数値として 0 (ゼロ) を含むセルは計算の対象となります。
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既知の y と<Z5>既知の x にデータが含まれていないとき、または両者のデータの個数が異なるときは、エラー値 #N/A が返されます。
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回帰直線の傾きは、次の式で表されます。
ここで、x は標本平均 AVERAGE(既知の x)、y は標本平均 AVERAGE(既知の y) です。
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SLOPE 関数の基になるアルゴリズムは、INTERCEPT 関数や LINEST 関数の基になるアルゴリズムとは異なります。 そのため、データが不定で共線性がある場合に、結果が異なることがあります。 たとえば、"既知の y" 引数のデータ要素が 0、"既知の x" 引数のデータ要素が 1 の場合、次のような動作になります。
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SLOPE 関数と INTERCEPT 関数では、エラー #DIV/0! が返されます。 SLOPE と INTERCEPT のアルゴリズムは唯一の答えを見つけるように設計されていますが、この場合は複数の答えがあり得ます。
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LINEST 関数では値 0 が返されます。 LINEST アルゴリズムでは、共線性があるデータに対して適切な結果を返すようになっており、この場合は少なくとも 1 つの答えが見つかります。
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使用例
次の表のサンプル データをコピーし、新しい Excel ワークシートのセル A1 に貼り付けます。 数式を選択して、F2 キーを押し、さらに Enter キーを押すと、結果が表示されます。 必要に応じて、列幅を調整してすべてのデータを表示してください。
データ |
||
---|---|---|
既知の y |
既知の x |
|
1900/1/2 |
6 |
|
1900/1/3 |
5 |
|
1900/1/9 |
11 |
|
1900/1/1 |
7 |
|
1900/1/8 |
5 |
|
1900/1/7 |
4 |
|
1900/1/5 |
4 |
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数式 |
説明 |
結果 |
=SLOPE(A3:A9,B3:B9) |
A3 から A9 および B3 から B9 のデータ要素を通過する回帰直線の傾きを返します。 |
0.305556 |